失恋したら、カラ元気だしていきましょう!
これっぽっちも
思わなかったよ、私
いまさら、故郷に舞い戻って来ようなんてさ
――ふられ虫に成り下がってね、まいった、まいった
心ゆも
我(あ)は思はずき
また更(さら)に
我(わ)が故郷(ふるさと)に
帰り来(こ)むとは
(笠郎女(かさのいらつめ) 巻四の六〇九)
>>解説
情熱的な恋歌を家持に贈りつづけた笠女郎の歌。左注に「右の二首は、相別れて後に更に来贈(おく)る」とあり、笠女郎は恋に破れて故郷に帰ったことがわかる。つまり、関係を清算しても、笠女郎はその消息を歌で家持に贈ったのである。訳の「ふられ虫に成り下がってね、まいった、まいった」は、そのあたりの事情を織り込んだもの。 |