このページは、本の宣伝をさせていただくページです。
たのしい入門書、読むのが苦痛な研究書いろいろあります。
ひとりでも、読者が増えるとうれしいです。さあ、どうぞ。
書籍
 ここ数年、中学校入試から大学入試まで、国語の入試問題に、年に5、6校は上野の文章が出題されています。出題頻度では、山折哲雄先生や鷲田清一先生が横綱とすれば、幕下ぐらいにはなっているのかもしれません。解答例を見て、入試ではそうなるのかぁ、と思ったりもします。自分よりも偏差値が上の学校の問題に出題されたり、出身附属高校の大学の入試問題に出題されているのを見ると、苦笑してしまいます。

2021/04/07 『教会と千歳飴―日本文化、知恵の創造力―』発売
2021/03/31 『まぼろしの最終講義』発行
2020/09/25 『万葉集講義―最古の歌集の素顔―』発売  
2020/03/30 『万葉学者、墓をしまい母を送る』発売
2019/09/10 『入門 万葉集』発売
2019/07/25 『体感訳 万葉集―令和に読みたい名歌36―』発売
2015/01/25 『日本人にとって聖なるものとは何か―神と自然の古代学―』発売
2015/01/15 『天平グレート・ジャーニー―遣唐使・平群広成の数奇な冒険―』発売
2014/09/25 『折口信夫 魂の古代学』発売
2014/04/18 『万葉びとの宴』発売
2013/11/25 『万葉集の心を読む』発売
2013/09/25 『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢』発売
2013/06/20 『書淫日記―万葉と現代をつないで―』発売
2012/09/25 『はじめて楽しむ万葉集』発売 
2012/09/21 『天平グレート・ジャーニー -遣唐使・平群広成の数奇な冒険-』発売
2012/09/05 『心ときめく万葉の恋歌』発売
2012/01/25 『万葉挽歌のこころ―夢と死の古代学―』発売    
2011/11/25 『よしのよく見よ』発売 
2011/04/25 『国文科へ行こう!』発売 
2010/03/25 『万葉びとの奈良』発売  
2009/10/06 『魂の古代学』第七回 角川財団学芸賞 受賞 
2008/09/25 NHK教育テレビテキスト『知るを楽しむ 歴史に好奇心』発売 
2008/08/25 『魂の古代学』発売 
2008/07/18 『大和三山の古代』発売 
2007/09/26 『万葉びととの対話』発売 
2006/04/10 『おもしろ古典教室』発売
2006/03    朝鮮語版 『万葉にみる 男の裏切り・女の嫉妬』韓国にて発売
2005/11/02 『小さな恋の万葉集』発売
2004/09/01 『万葉体感紀行』発売
 『教会と千歳飴―日本文化、知恵の創造力―』
出版日 2021/4/7
出版社 小学館
価格 \1,200円(税別)
ひとこと

 知恵を軸にした日本歴史文化論。固有名詞が登場する偉人列伝。社会経済のダイナミックスを描く歴史とは違う、もうひとつの歴史について考えた本。採集と農耕、生産物の交換、その交換を通じて生まれるネットワーク、ネットワークの核となる宗教、そして政治。そういうものを、いかに身近に記述できるか、というのが本書のテーマです。隠れた主人公は、祖母の上野キクノで、祖母の知恵から学んだ歴史についても書いています。

第一章 農耕の知恵
第二章 交易の知恵
第三章 宗教の知恵
第四章 政治の知恵
第五章 芸術の知恵
第六章 歴史の知恵
おわりに
あとがき

難易度 Cクラス

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 『まぼろしの最終講義』
発行日 2021/3/31
著者 上野誠
編者
発行者
上野誠先生の還暦を祝う会
上野誠ゼミナールまほろば会
造本設計 末崎光裕
ひとこと

 29年間も、勤めた奈良大学。その愛すべき奈良大学を退職するにあたって、まとめた本です。コロナ禍のため最終講義はなくなりましたが、最終講義で話そうと思っていた内容を一冊にしました。
 それに、これまでに書いた著書や論文の目録、さらには年譜をつけた本です。この本は還暦を祝賀する本でもありますので、期間を限定して公開したいと思います。
 なお、本書は、卒業生と西日本新聞社の末崎光裕さんの力によって出来上がった本です。わが人生を振り返り、新たな一歩を踏み出す本です。ご笑覧下さい。

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 『万葉集講義―最古の歌集の素顔―』
出版日 2020/9/25
出版社 中央公論新社
価格 \880円(税別)
ひとこと

 上野も60歳となり、あぁ、こういう新書を書く歳になったのかなぁ、とこの原稿依頼を受けた時、しみじみ思いました。中公新書の『万葉集』といえば、池田彌三郎、山本健吉の『萬葉百歌』、続いて中西進の『万葉の世界』でした。それに続くのがわが『万葉集講義』です。万葉研究の「今」「ここ」「私」が、この本にはあります。読むという行為は、今という時代の中で読むわけですから、ビューログラシーやグローバリズム、ナショナルアイデンティティが問題となります。それを上野がどう読み取ったのか、読んでいただければ幸いです。コロナ籠りで2月から5月まで悪戦苦闘して書いていたものです。各章立ては、『万葉集』をみるこの本の観点と考えていただいて構いません。

はじめに
第一章 東アジアの漢字文化圏の文学
第二章 宮廷の文学
第三章 律令官人の文学
第四章 京と地方をつなぐ文学
第五章 『万葉集』のかたちと成り立ち
第六章 『万葉集』の本質は何か
終章 偉大なる文化遺産のゆくえ
あとがき
参考文献

難易度 Bクラス

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 『万葉学者、墓をしまい母を送る』
出版日 2020/3/30
出版社 講談社
価格 \1,400円(税別)
ひとこと

 コロナ禍の最中に出版することになった本で、内心、忸怩たるものがあります。
 冒頭に「これから私が語ろうとすることは、個人的体験記でもなければ、民俗誌でもない。評論でもないし、ましていわんや小説でもない。ひとりの古典学徒が体験した、死をめぐる儀礼や墓にたいする省察である」と書いた通りの本です。ひとことでいえば、個人が体験した小さな歴史を書きたかったのです。織田信長と豊臣秀吉と徳川家康を繋いだら歴史になるのか。史料に残らない小さな歴史というものもあるはずです。そういう小さな歴史を、一人称で語った実験的な本です。
 小さな歴史の発見は、日本では柳田国男、フランスではアナール学派の専売特許なのですが、私もいつか、こういう本を書いてみたかったのです。アナール学派のフィリップ・アリエスに対する極東からのオマージュです。
 楽しく読めるという点では、Cクラスなのですが、案外、哲学的命題はA超級かもしれません。

目次
はじめに
死の手触り
墓じまい前後
死にたまふ母
われもまた逝く
おわりに

難易度 Bクラス

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 『入門 万葉集』
出版日 2019/9/10
出版社 筑摩書房
価格 \760円(税別)
ひとこと

 日本武道館が毎月刊行している『書写書道』に連載した文章、および読売新聞奈良版に連載した文章をまとめたものです。『書写書道』の読者は、主として小学生から高校生までで、若い人たちへのメッセージとして執筆していたものでした。私としては、お説教調にならないように、工夫をして書いたつもりです。上野は、今も昔もお説教が大嫌いですから。

目次
はじめに
第1章 『万葉集』って、何ですか?
第2章 『万葉集』の出来事
第3章 『万葉集』のことばに学ぶ
第4章 『万葉集』の場所と人
おわりに

難易度 Cクラス

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 『体感訳 万葉集―令和に読みたい名歌36―』
出版日 2019/7/25
出版社 NHK出版
価格 \1,300円(税別)
ひとこと

 NHK『短歌』に連載をしていた文章をまとめたものです。毎回毎回、季節に合わせて万葉歌を選んで書いていました。単行本化が待ち望まれていたのですが、チャンスがなく、この本に結実することになりました。体感訳は、釈義で、解釈を踏まえて歌の心をデフォルメして伝えるものです。直訳、意訳からさらに進んで、作者の心情を忖度して作った訳文といえるでしょう。よくも悪くも、上野流の体感訳が特徴となっている本です。

目次
はじめに――令和と『万葉集』(「梅花の宴」の序文と代表歌)
第1章 恋のうた、別れのうた
第2章 家族のうた、くらしのうた
第3章 やまとの国のうた
第4章 春のうた
第5章 夏のうた
第6章 秋のうた
第7章 冬のうた、新年のうた
おわりに

難易度 Cクラス

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 『日本人にとって聖なるものとは何か―神と自然の古代学―』
出版日 2015/01/25
出版社 中央公論新社
価格 \950円(税込)
ひとこと

 あこがれの中公新書に書きました。一つの古代信仰論にして、日本文化論か? カムナビ、ミモロ、モリの神々とは、一体どういう神なのか。神と人と天皇との関係は、いかなるものなのか。ちょっと上品に書いたかなぁ――。上野の40年の精神遍歴も書きました。

序章
第一章 神と地名の古代学
第二章 原恩主義の論理
第三章 「モリ」に祈る万葉びとたち
第四章 「カムナビ」と呼ばれた祭場、聖地
第五章 神の帯にする川
第六章 ミモロは人の守る山
第七章 畏怖と愛惜という感情
第八章 人と天皇と神と
終章

難易度 Bクラス

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 『天平グレート・ジャーニー―遣唐使・平群広成の数奇な冒険―』
出版日 2015/01/15
出版社 講談社
価格 \918円(税込)
ひとこと

 ついに出た。話題作『天平グレート・ジャーニー』の文庫版。ほとんど訂正はないが、文庫版「あとがき」を書き足している。今でも思い出す。あれこれと苦労して書いた夏のことを。

難易度 Cクラス

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 『折口信夫 魂の古代学』
出版日 2014/09/25
出版社 KADOKAWA/角川学芸出版
価格 \994円(税込)
ひとこと

 新潮選書の文庫版。内容の訂正はほとんどないが、文庫版の「あとがき」が付く。夢枕獏さんが「学問が面白いのは人間が面白いからだとこの本が叫んでいる」との帯文を書いてくれました。

難易度 Bクラス

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 『万葉びとの宴』
出版日 2014/4/18
出版社 講談社
価格 \800円(税別)
ひとこと

 主人と客はお互いを気遣って称え合う。
盛り上げ上手の芸達者はあちこちでお座敷がかかる。
途中で抜ける時はマナー違反につき下手に出たり……。
思わず親近感が湧いてくる古代の人びとの宴会を、実況・解説!

<本書の主な内容>
プロローグ――「うたげ」とは
第一章 宴と歌の関係
『古事記』の「酒楽之歌」/歌い踊って造った酒とは/国家存亡の危機 ほか
第二章 額田王の媚態
「ご下問」が出た――/言を左右にする額田王/聞き手を楽しませる工夫 ほか
第三章 天平知識人たちの雅宴
梅花の宴の歌群をどう読むのか/最先端の文学/心をつかむということ ほか
第四章 『万葉集』の最後の歌
「朝賀」は「みかどおがみ」/郡司と宴会でコミュニケーション/いやしけ吉事 ほか
第五章 雪かきして酒にありつこう
景色を宴で歌う意味/新年の雪は吉兆!/大伴家持の後悔/生き残る知恵 ほか
第六章 正月歌の型とその工夫
同僚の宅での新年会/氏族の人びととの新年会/主人あっての客/お正月はたいへんだ ほか
第七章 宴会芸の世界
型と型破り/ミスター右兵衛/芸人と芸名の発生、その原初的形態/ゲームのルール ほか
第八章 愛誦歌、おはこについて
「恋の奴」とは?/もてない男のぼやき節/三枚目の笑いが宴を盛り上げる ほか
第九章 宴の流れ
今度は自分たちが楽しむ番だぜ/“きれいどころ”がいる宴/「ウカレメ」とは何か ほか
第十章 宴のお開きにあたり
この無礼、死をもって償うべし/我酔ひにけり/宴を途中で抜ける時は ほか
エピローグ――宴の文化論

宴は日本文化の原点
ともに酒を飲み、あい歌い、和することこそ、政治の原点ではないのか? そして、どのように席次を決めるのか、それはホームパーティーにおいても、国賓晩餐会においても、悩ましい政治問題だ。まさに、政治の原点。そもそも、日本の芸術は、その源のすべてが宴にあるといっても過言ではない。客をもてなすための工夫に由来しているのである。(中略)だとすれば、宴について考えることは、日本文化について考えることにつながってゆくはずだ。(「プロローグ――『うたげ』とは」より)

難易度 Cクラス

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 『万葉集の心を読む』
出版日 2013/11/25
出版社 株式会社KADOKAWA(発行所)、角川学芸出版(編集)
価格 \760円(税別)
ひとこと

 NHK出版から出版した『万葉びととの対話』の文庫版です。文章はほとんど変わっていません。ただし、装丁はおしゃれかな。詳しくは、『万葉びととの対話』の項を見て下さい。

難易度 Cクラス

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 『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢』
出版日 2013/9/25
出版社 角川学芸出版
価格 \1,800円(税別)
ひとこと

 帯に、「男は、いかにして帝国・唐の重臣となったか?」とあるように、阿倍仲麻呂の評伝です。章題を挙げると、下記のようになります。

第一章  新生「大宝律令」の子
第二章  日本から唐へ
第三章  科挙への挑戦
第四章  官人として宮廷社会を生きる
第五章  知恵が救った四人の命
第六章  阿倍仲麻呂帰国
第七章  阿倍仲麻呂と王維
第八章  天の原ふりさけ見れば

 したがって、一応、阿倍仲麻呂の評伝となっています。全力投球はしましたが、資料がほんとうに難しく、2012年秋から2013年春まで、苦しみ抜いて書いた本です。ことに、第七章は、難行苦行というべきもので、阿倍仲麻呂送別詩の王維序文の注解をしています。でもやっぱり、謎が残りますよねぇ。
 唐での仲麻呂の出世のきっかけは、崔日知なる人物の推薦によるのですが、どこでどう知り合ったのか、なぜ推薦したのか、わかりません。この本で重要視したのは、王維の送別詩序なのですが、この詩序は、古典籍を踏まえているので、どのような譬えのもとに仲麻呂のことが書かれているのか、難しいのです。これも、謎でしょうか。そして、「天の原ふりさけ見れば」の歌。一首しか残っていないのに、日本で一番よく知られている和歌になっています。が、しかし。謎の多い歌で、実作説・偽作説・仮託説・伝承歌説もあり、たいそう難しいのです。全力投球はしましたが、いやぁ、やっぱり、阿倍仲麻呂は難しい! これが、書き上げての感想です。

難易度 Bクラス

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 『書淫日記―万葉と現代をつないで―』
出版日 2013/6/20
出版社 ミネルヴァ書房
価格 \2,400円(税別)
ひとこと

「淫書」とは、みだらな本すなわち春本のことだが、「書淫」とは、無類の本好きのことをいう言葉である。お間違いのないように。 本好き日記という名の半生記+エッセイ集ということになる。
これまで新聞などに書いていた短い文章を集めた本を、京都のミネルヴァ書房より上梓することができた。じつは、紅顔の美少年のころの私の写真も入っている。たぶん、この写真で売り上げ倍増かぁー。まぁ、冷蔵庫の残り物で作った煮物のようなものだが、案外おいしかったりして!

難易度 Cクラス

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 『はじめて楽しむ万葉集』
出版日 2012/9/25
出版社 角川学芸出版
価格 \740円(税込)
ひとこと

PHPから出版した『みんなの万葉集』の文庫版です。文章はほとんど変わっていません。ただし、装丁はおしゃれかな。詳しくは、『みんなの万葉集』の項を見て下さい。

難易度 Cクラス

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 『天平グレート・ジャーニー -遣唐使・平群広成の数奇な冒険-』
出版日 2012/9/21
出版社 講談社
価格 \2,625円(税込)
ひとこと

恐らく、一生一冊になるでしょう……560枚の書き下ろし小説なんて。そんなチャンスが、そうそう滅多にあるもんじゃありません。上野としては、この3年間、全力投球したつもりですが……。内容は、下記の通りで、苦難の遣唐使ともいうべき、天平5年遣唐使の平群広成の冒険小説です。文も下手。構成もなってませんけど、資料を読む研究者の想像力のようなものが、小説のかたちをとっていると見てください。上野は、書いていておもしろかったです。自分の書いた物語にはまりました。

【本書の内容】
天平5年(733)の遣唐使は数ある遣唐使のなかでも数奇な運命をたどったことで知られます。行きは東シナ海で嵐に遭い、なんとか4隻すべてが蘇州に到着できたものの、全員が長安入りすることはかないませんでした。それでも玄宗皇帝には拝謁でき、多くの人士を唐から招聘することにも成功、留学していた学生や僧も帰国の途につきました。しかし……。4隻の船のうち第1船だけが種子島に漂着、第2船は広州まで流し戻されて帰国は延期、第4船に至ってはその消息は杳として知れません。そして第3船。この船は、南方は崑崙(いまのベトナム)にまで流され、115人いた乗員は現地人の襲撃や風土病でほとんどが死亡、生き残ったのは4人だけだったと史書には記されています。そのひとりが本書の主人公、判官の平群広成なのです。
広成たちはたいへんな苦労の末に長安に戻り、さらに北方は渤海国を経て帰国します。そのとき広成はなぜか天下の名香「全浅香」を携えていたといいますが、それはなぜか?
若き遣唐使の目に世界はどう映じたのか? ふたたび日本の土を踏むまでに何があったのか? 阿倍仲麻呂、吉備真備、山上憶良、玄宗皇帝らオールスターキャストの学芸エンターテインメント。読んで損はさせません!。

難易度 Cクラス

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 『心ときめく万葉の恋歌』
出版日 2012/09/5
出版社 二玄社
価格 \1,600円(税別)
ひとこと

ご心配なく。ご心配なく。上野が、習字をしたものが、本になったのではありません。書家の方の書の鑑賞の手引きに、上野が文章を書いたものです。したがって、上野の直筆はありませんので、心配しないでください。解説は、いつもの定番で、平たく書いたつもりです。中嶋先生の書は、力強くて、見ているだけでアートだなっていう感じがします。

難易度 Cクラス

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 『万葉挽歌のこころ―夢と死の古代学―』
出版日 2012/1/25
出版社 角川学芸出版
価格 \2,100円(税込)
ひとこと

恥ずかしい話だが、私の卒業論文は「万葉挽歌小論」と題する論考で、巻13の挽歌部冒頭を論じたものであり、修士論文は「万葉集人麻呂挽歌の研究」で、こちらは「殯宮之時挽歌」を取り上げた。したがって、20代から30代は挽歌の論文が多かった。そんななかで、いつか天智天皇挽歌群(巻2の147〜155)を取り上げてみたいと心にかけていたことは事実だ。だから、角川学芸出版から選書のお話をいただくと、迷わずに選んだテーマだ。
 角川選書は、選書の中でもやや専門性が高いので、一首を読むなかで問題点を探り、その問題を考えることが、万葉挽歌全体の理解に繋がるという方法をとってみた。良くも悪くも、上野らしい選書の一つだろう。2011年3月から9月の成果。


難易度 Bクラス

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 『よしのよく見よ』
出版日 2011/11/25
出版社 角川学芸出版
価格 \1,000円(税込)
ひとこと

「ついに、上野も絵本を書いたか、やはり」と思う人もいるだろうし、「えっ、ほんと、あの上野が絵本なんて」という人もいるだろう。では、私自身はといえば、実は驚いている。でも、引き受けてしまうのが、上野なんですね。どうやったら、吉野の万葉の心を子どもたちに伝えることができるのか。それは、楽しくもあり、苦しくもあった。しかし、できてみると、やはりこれは間違いなく自分の分身だ。本を作るということは、自分の分身を作ることなのだろう。読んでみれば、『万葉集』に造型の深い人なら、あっこれがぁーと思うだろうし、初心者なら、そうだったのかぁーと思うだろう。はて、子どもたちの評判は?


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 『国文科へ行こう!』
出版日 2011/4/25
出版社 明治書院
価格 \1,200円(税別)
ひとこと

 この本の企画の話が、わが奈良大学文学部国文学科の上野研究室にもたらされた時、私は「はっ」として「ぎょっ」として、そのあと苦笑した。「はっ」としたのは、近年人気減少の諸大学の国文科、国文学科に対して応援してやろうという奇特な出版社があったことに「はっ」としたのである。次に「ぎょっ」としたのは、その編者に上野誠がなるということを聞いたからである。なんで、俺が・・・。上野は国文学界の異端児なのに。まぁ、いいか。異端児なりにがんばれば、とそこで思い直した。そう思うと、この本の企画のドンキホーテぶりに笑ってしまったのである(明治書院の人、ごめんなさい)。なんといっても、帯のキャッチがいい。「斜陽学科、反撃開始」というのだから。簡単にいうと、読む国文科、国文学科の体験入学だ。授業の口調を活かした文体で書かれている。国文学の今を知りたい人には、お勧め!!!

難易度 Cクラス

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 『万葉びとの奈良』
出版日 2010/3/25
出版社 新潮選書
価格 \1,100円(税別)
ひとこと

この本では、平城京に住む人にしかわからない感覚のごときものを描きだしたかったのでした。
平城京は、大極殿と朱雀門と朱雀大路と羅城門を結ぶ線を機軸線とする律令国家の都であり、それが「奈良の都」の顔であったこと(第一章、第二章)。そして、遷都によって、奈良に移り住んだ人々は、徐々にここがわが街であると自覚するようになり、自分たちを「奈良びと」と呼ぶようになって、役人たちは地方赴任をすれば、わが街への望郷の讃歌をも歌うようになっていったこと(第三章と第四章)。その役人たちといえば、今日のような世知辛い人事考課を受けつつも、農繁期には自らの庄に出かけて、農作業に汗を流す人たちであったこと(第三章と第五章)。一方、女たちは、愛する人のために糸を紡ぎ、機を織り、水辺の労働に勤しむ人びとであった(第六章)。けれども、休みの日には、時に恋人とガーデニングを楽しんだ「奈良びと」たち(第七章)。そして、私は、最後に唐からやって来た僧・鑑真について語った。鑑真を日本に招聘するのに努力した人の縁。それに報いた鑑真の物語である(第八章)。
私は、平城京という場、奈良という場にこだわって、そこに生きた人びとを万葉歌から論じ、活写したかったのです。

難易度 Bクラス

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 NHK教育テレビテキスト『知るを楽しむ 歴史に好奇心』
出版日 2008/09/25
出版社 日本放送出版協
価格 \683円(税込)
ひとこと

2008年11月
万葉びとに恋愛を学ぶ

日本最古の歌集『万葉集』に編纂された歌の7割以上が「恋愛」を詠んでいる。恋愛の諸事情を詠んだ歌を紐解き、万葉びとの恋心に思いをはせる。

→NHK教育テレビ 放送内容はこちら


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 『魂の古代学 〜問いつづける折口信夫 〜』
 第七回 角川財団学芸賞 受賞


第七回角川財団学芸賞受賞
出版日 2008/08/25
出版社 新潮社
価格 \1,260円(税込)
ひとこと

 折口信夫(一八八七―一九五三)。日本文学の始原を見つめた数々の論考。静寂のなかに秘められた情熱を感じさせる短歌。マレビト論として広く知られ、ドイツの民族学者たちを驚嘆させた民俗学の論考。多才多能、異端異能の学匠詩人。そして、知られていないが、折口は、『口訳万葉集』という書物によって、最初に『万葉集』の全口語訳を成し遂げた人物でもあった。
  そして、彼は、孤高の詩人学者、黒衣の旅びと、と呼ばれる。たしかに、そういう言い方は、折口のある一面をよく表している。折口信夫といえば、時代に迎合せず、超然的態度で古代を見つめた人というイメージが、一般的には強いようだ。
 しかし、私が描きたかったのは、等身大の折口信夫像だった。私が本書で描いた折口信夫は、時代、時勢と激しく格闘し、疾走する折口信夫像であった。時にぶきように、時にしたたかに戦中戦後を生き抜いた人。ばけしく、朝鮮人大量殺害に抗議する人。悪戦苦闘する若き古典教師の折口信夫像であった。そして、永遠の「小ぼんちゃん」として、私は折口を描いた。彼は大人になりきれなかったからこそ、小さき者、弱き者の視点で、差別のまなざしを告発できたのかもしれない、とさえ今は思う。わたしは、折口の書に学んだが、私は新たな折口像を鋳造したと思う。

難易度 Bクラス

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 『大和三山の古代』
出版日 2008/07/18
出版社 講談社
価格 756円(税込)
ひとこと

 私がはじめて大和三山を見たのは、大学一年生のとき。『万葉集』を勉強するのに、大和三山を見ていないようでは・・・と見に行きました。はじめて、香具山を見た感動は未だに忘れられません。講談社現代新書からお誘いがあったときには、迷わず「大和三山」をテーマに選びました。が、しかし。万葉を語るにはあまりにも古めかしいテーマだし、すでに先輩大家の言は万巻の書となって汗牛充棟。たいへんだ。
 でも、それなりに成算がないわけではありませんでした。第一は、三山の真ん中にある藤原宮の発掘がかなり進んできていて、隣接する飛鳥地域のものを含めると七世紀後半の飛鳥と藤原の様子がわかるようになってきている。これを、自らの万葉研究と重ね合わせれば、新しい見方を提示できるかもしれない、とまずは考えたです。そして、わたしには今までになかった新しいタイプの新書を作りたいという、密かな野心
がありました。それは・・・

難易度 Cクラス

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 『万葉びととの対話』
出版日 2007/09/26
出版社 日本放送出版協会
価格 798円 (本体760円)
ひとこと

古代、世情のすべては和歌に詠み込まれた。のどかに見えてその実、現代に劣らぬ激動の時代だった飛鳥・奈良時代の歌に、現代人が読めるものとは? 「笑いと宴席」「女性と労働」など現代に通じるテーマを、即興の宴会芸から多摩川べりの男女のかけひきまであらゆるジャンルの万葉歌に見出して楽しむ。

→ラジオ講座の内容はこちら
 NHKラジオ第二放送
 2007年10月7日〜12月30日
 13:20〜14:00

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 『おもしろ古典教室』
出版日 2006/04/10
出版社 筑摩書房
価格 756円(税込) (本体価:720円)
ひとこと これから古典を学ぼうとする人、嫌でも古典を学ばなくてはならなくなった高校生。そういったプリマーに型破りな入門書を・・・という筑摩書房の編集者の熱い思いから、この本は生まれました。
高校で行なった大学出前授業を、紙上で再現しました。
古典なんて、過去の人間の残したカスだ。大切なのは過去じゃなくて、「今」と「自分」だ。じゃぁ、古典を学ぶ意味はどこにあるの? 私が書きたかったのは、そこなんです(もちろん、ソコは読んでくださいね)。

そして、この本では、古典が嫌いだった私が、古典を学ぶようになった理由も書きました。出来損ないの青春小説のような奇妙奇天烈な古典入門書です。『小さな恋の万葉集』と併せて読んで欲しいな。とくに、高校生に。 

難易度:Cクラス
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 朝鮮語版 『万葉にみる 男の裏切り・女の嫉妬』
出版日 2006/03
出版社 韓国にて
ひとこと 『万葉に見る男の裏切り女の嫉妬』の朝鮮語版が、韓国で出版されました。韓国版の題は『千年の恋歌、万葉集』です。
日本人の喜怒哀楽の和歌表現がどう韓国の人びとの目に映るか? 感想を聞いてみたいところです。こと「怨」と「恨」の文化の国で、日本人の裏切りや嫉妬がどう眼に映るか、聞いてみたいですね。
装丁もなかなかで、韓国でも多くの読者を獲得して欲しいです。 
→日本語版はこちら
→お問合せ
 『小さな恋の万葉集』
出版日 2005/11/02
出版社 小学館
価格 1,470円(税込) (本体価:\1,400)
ひとこと 朝日新聞に超訳が紹介されるや、反響を巻き起こした新訳の恋歌アンソロジーをようやく出すことが出来ました。新聞に出るや、当ホームページには延べ一万のアクセスがあり、応援のメールを胸に訳文を作りました。この本では、人の心がテーマで、写真は佐藤秀明さんが担当してくれました。見ているだけで切ない写真です。その写真と歌を重ね合わせてみると、心の陰影が浮かび上がってきます。推薦文は、ななんと槙原敬之さんが寄せてくれています。カンゲキ! 

難易度:Cクラス
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 『万葉体感紀行』
出版日 2004/09/01
出版社 小学館
価格 1,890円
ひとこと 万葉の世界をどのようにしたら、体感できるのか!これが、この本のテーマです。
考古学の最新の知見の収集、詳細な地図の作成、万葉日本画の収載、歌われた故地の写真の収載・・・もう出来ることはすべてやったという感じです。とにかく、必要なのは好奇心のみ。万葉の都を歩きながら、歴史と歌の妙を体験する紙上ツアーをやっています。まぁ、良くも悪くも超がつく入門書が出来たと思います。

難易度:Cクラス
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 『みんなの万葉集 -響きあうことばとこころ-』
出版日 2002/09/20
出版社 PHP出版
価格 1,500円
ひとこと 上野流万葉おもしろ秀歌選に、解説とエッセイが入っています。
へぇーこんな歌もあったの・・・とびっくりの本です。
また写真がいい!

難易度:Cクラス
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 『万葉にみる 男の裏切り・女の嫉妬』
出版日 2002/09/01
出版社 NHK出版
価格 680円
ひとこと 編集者の陰謀でスゴイ書名となりましたが、今は案外イケテルと思っています。
内容は古代の男女関係を楽しく書きました。 笑ってください。

な なんと、 この本は韓国語版も出る予定。

難易度:Cクラス
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 『芸能伝承の民俗誌的研究 -カタとココロを伝えるくふう-』
出版日 2001/03/01
出版社 世界思想社
価格 4,500円
ひとこと 民俗学関係の論文集です。
芸能を民俗学の中でどう位置付けるかを考えました。
若い研究者に人気のある本です。

難易度:Aクラス
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 『万葉びとの生活空間 -歌・庭園・くらし-』
出版日 2000/11/01
出版社 塙書房
価格 1,200円
ひとこと 万葉びとの生活と、歌を往復する新しいタイプの研究。
それを楽しく、わかりやすく伝えたつもりです。

難易度:Bクラス
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 『風呂で読む 万葉挽歌』
出版日 1998/09/01
出版社 世界思想社
価格 951円
ひとこと

これは合成樹脂でできた本で、風呂の中で読めます。挽歌の入門書です。
不思議な本を作ってしまいました。

難易度:Cクラス

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 『古代日本の文芸空間 -万葉挽歌と葬送儀礼』
出版日 1997/11/01
出版社 雄山閣出版
価格 6,800円
ひとこと 処女出版、学位論文です。
20代、30代の万葉関係の論文集。

難易度:Aクラス
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 『万葉民俗学を学ぶ人のために』大石泰夫盛岡大学教授との共編著
出版日 2003/10/10
出版社 世界思想社
価格 2,200円
ひとこと 最前線の学問をわかりやすく説くシリーズの中の一冊。万葉歌から当時 の生活を探る万葉民俗学の方法が示されている。

難易度:Bクラス
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CD
 『万葉うた紀行  -古代の都-』
出版日 2002/08/01
出版社 N.M.G
価格 1,500円
ひとこと おだてられてCD出しました。朗読と解説に音楽がついています。入手しにくい時はご連絡ください。
 TEL:0743-58-1616
 FAX:0743-52-2431

難易度:Cクラス
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