このページは大学での上野の活動を記したページです。
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奈良大学

奈良大学上野誠研究室 メール:uenom@daibutsu.nara-u.ac.jp

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当時の生活空間を実感することが大切

天皇の御製歌
春過ぎて 夏来るらし 白たへの
衣干したり 天の香具山

 これは、『万葉集』に収録された、有名な持統天皇の歌。なぜ”天の香具山”というのか、実際に香具山に登ると、学生たちは不思議に思うのです。香具山というのは、天に届くくらいの高い山とイメージしていたが、実際はすごく低いではないかと。そこで、「天の香具山というのは、藤原宮のすぐ東に位置し、天(=都の上空)から降ってきた山との伝承があったから」と説明すると、歌われている表現を身を持って実感することができるようです。

 学生には、万葉時代の人の話を、隣のおじさんやおばさんが話していることのように実感してほしい。そのために、当時の人々の生活空間を浮き彫りにしていってほしいですね。『万葉集』を読むことをあまり難しく考えず、歌の中に読まれた当時の生活実態を現代に照らし合わせ、「今で言えば、こういうことにあたるんだ」と感じればいいんです。万葉集とは決して遠い過去のものではなく、われわれ現代人の日常生活とも深く通じ合うことがあるはずですから。

 私の研究のキーワードも、”生活空間を復元”すること。たとえば、時代や社会のなかで、その歌がどのように歌われたのか?どこで歌われ、誰が聞いて、みんなにどのように伝わったのか?当時の表現が全体的な空間のなかでどのように機能しているのか?時代や文化的な背景を知ることで、万葉集の解釈も変わり、文学の読みが深まっていく。これが私の研究スタイルです。


『万葉集』は、言葉の文化財である

 さらに、私が研究者としてもうひとつこだわることは、生活者として視点を忘れないこと。万葉びとも詩人である前に、ひとりの生活者であったはずですから。地方赴任した貴族が故郷を詠んだサラリーマン川柳、好きになった女性にたくさん貢いでしまったというようなちょっと情けない歌も『万葉集』にはあります。つまり、生活実感に根差した文芸なんですよ。だから、『万葉集』の喜怒哀楽は、文芸的表現であると同時に、生活者としての悲喜こもごもを論理的に説明する表現であるとも思います。とすれば、『万葉集』は、言葉の文化財。目に見えないし、触れることもできないが、言葉からその時代を感じることができるのです。

 また、考古学や歴史学の研究を万葉研究に生かしていくことも、当時を知るための重要な研究手法。だから、私の場合は、文学としての万葉研究ではなく、生活史としての万葉研究である。”万葉文化論”と自らの研究を呼ぶのも、そういった理由からです。


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