ちらりと見ただけで・・・
ほのかに光を放つ玉
そのようにかすかに見ただけで
別れてしまったら・・・
むしろ、むしょうに恋しくなってしまうだろう
また逢う日まで――
玉(たま)かぎる
ほのかに見えて
別れなば
もとなや恋ひむ
逢(あ)ふ時までは
(七夕歌 山上憶良 巻八の一五二六)
>>解説
この歌は、山上憶良の七夕歌である。したがって、内容は、牽牛と織女の七夕のデートを歌ったもの。天平二年(七三〇)の七月八日に、大宰帥(だざいのそち)・大伴旅人宅に集まって、作った歌の一つ。万葉の七夕歌の特徴は、一般の恋歌と区別がつかないところにある。短い時間だからこそ、瞼に焼き付いて離れないのである。 |